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現場で役立つ生成AIアプリを手軽に作成!「Dify」の魅力と実践レポート


0.自己紹介

初めまして、パーソルクロステクノロジーの小髙です。私は2022年に新卒としてDXソリューション本部 NewITソリューション部に配属され、顧客のあらゆる課題をシステム開発や機械学習、OpenAIの導入によって解決する業務に従事しています。本記事では、生成AIアプリ作成ツール「Dify」について紹介し、実際にDifyを使って生成AIアプリを開発した体験や生成AIと業務効率化についてお話します。

1.はじめに

1.1.生成AIについて

近年、生成AI(Generative AI)は急速に進化し、多くの分野で注目を集めています。生成AIとは、大量のデータをもとに新しいコンテンツや情報を生成する人工知能技術のことです。例えば、自然言語処理(NLP)を用いた文章生成や、画像生成、音楽作成など多岐にわたる応用が可能です。特にChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)は、その高い精度と柔軟性から、多くの企業や開発者だけでなく個人にも利用されています。

1.2.現場での生成AIの重要性

企業現場では、生産性の向上や業務効率化が常に求められています。その中で、生成AIは大きな役割を果たすことが期待されています。例えば、カスタマーサポートの自動化、データ分析の効率化、クリエイティブなコンテンツ作成など、さまざまな業務プロセスにおいて生成AIが活用されています。それぞれの現場に特化したカスタマイズが施された生成AIアプリケーションは、より具体的かつ実践的なソリューションを提供し、その場面ごとの課題解決に貢献します。

2.生成AIアプリ作成ツール「Dify」とは

2.1.Difyの概要

DifyはLangGenius, Inc.が開発した、生成AIアプリケーションを簡単に開発できるローコードツールです。オープンソースとして提供されており、プログラミングの知識が少ないユーザーでも直感的に操作できるのが特徴です。Difyは、自然言語処理や画像生成など、さまざまな生成AIモデルを統合し、カスタマイズ可能なアプリケーションを構築するためのプラットフォームを提供しています。

2.2.Difyを選ぶ理由

Difyが選ばれる理由はいくつかあります。まず、ローコードツールであるため、開発者だけでなく非エンジニアも簡単に利用できる点が挙げられます。また、OSS(オープンソースソフトウェア)であるため、独自のカスタマイズを加えることができます。さらに、個人用の無料プランから、チームや企業用の有料プランまで展開されているため、規模に応じた利用が可能です。多くのテンプレートやサンプルコードが用意されているため、初めて利用するユーザーでもスムーズに導入できます。

3.Difyを使った生成AIアプリ開発体験

3.1.Difyを使用してみた感想

Difyを実際に使用してみたところ、その直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性に驚かされました。特に、プログラミングを一切使わずにAIアプリを作成できるため、非エンジニアでも簡単に取り組める点が非常に魅力的だと感じました。UIは非常にわかりやすく、ドラッグ&ドロップで要素を配置するだけでも基本的なアプリケーションが作成可能でした。また、豊富なテンプレートやサンプルコードが用意されていたため、初めての開発でも特に困ることもなくAIアプリの作成が行えました。

3.2.ブログ記事執筆AIアプリを作って記事を書いてもらった

実は今回のエンジニアブログを執筆するにあたり、Difyを使ってブログ記事執筆AIアプリを作成し、そのAIアプリに記事を執筆してもらいました。そう、まさにこの記事の90%以上がDifyによって開発したAIアプリによって執筆されたものです。その結果、私が一から記事を書くよりも完成度の高い記事を短時間で執筆することができました。
また、私がこの記事をAIに執筆して貰うにあたって与えた情報は「記事の構想」とWEB検索用の「検索キーワード」のみです。記事の構想として、「生成AI, dify, 業務効率化について。ローコードとプロコードのメリット・デメリット。」などを箇条書きで与えた程度の少ない入力で、記事を1本執筆することができました。

下記の画像は、ブログ記事執筆AIアプリを実際に開発している画面です。プログラミング言語は一切使用せず、直感的な操作でAIアプリを構築することができます。今回開発したAIアプリは「エージェント」と呼ばれるものでChatGPTのようなさまざまな用途に使用できる万能なチャットアプリではなく、エージェントに細かい指示を予め与えることで特定のタスクをより高度に、より精密に実行することができるチャットによる対話型AIです。指示自体も画像左上の「手順」にあるように、自然言語で与えることができます。

4.ローコードツールのメリットとデメリット

4.1.ローコードツールの利点

ローコードツールは、その名の通り、少ないコード量でアプリケーションを開発することができるツールです。以下にその主な利点を挙げます。

  1. 学習時間の短縮: プログラミングの知識がほとんどない人でも、短期間で使いこなせるようになります。これにより、新しい技術を学ぶための時間と労力を大幅に削減できます。

  2. 開発コストの削減: 専門的なプログラマーを雇う必要がなくなるため、人件費が削減されます。また、開発プロセスも効率化されるため、全体的なプロジェクトコストも抑えることができます。

  3. 迅速なプロトタイピング: アイデアをすぐに形にすることができるため、迅速なプロトタイピングが可能です。これにより、市場投入までの時間を短縮し、競争力を高めることができます。

  4. 柔軟性と拡張性: 多くのローコードツールはモジュール化されており、必要に応じて機能を追加したりカスタマイズしたりすることが容易です。

4.2.ローコードツールの限界

一方で、ローコードツールにはいくつかの限界も存在します。

  1. 複雑なカスタマイズには不向き: 簡単なアプリケーションや一般的な機能には適していますが、高度なカスタマイズや特殊な要件には対応しきれない場合があります。

  2. パフォーマンスの問題: 一部のローコードツールは生成されるコードが最適化されておらず、大規模なアプリケーションや高負荷環境ではパフォーマンスに問題が生じる可能性があります。

  3. 依存性: 特定のローコードプラットフォームに依存することで、そのプラットフォームから離れられなくなるリスクがあります。将来的にプラットフォーム自体が廃止された場合やサポートが終了した場合、大きな問題となります。

5.プロコードとの棲み分け

5.1.プロコードが必要な場面

ローコードツールは非常に便利ですが、すべての開発要件に対応できるわけではありません。以下のような場面では、プロコードが必要になります。

  1. 高度なカスタマイズ: 特定のビジネスロジックや複雑なアルゴリズムを実装する場合、ローコードツールでは限界があります。プロフェッショナルなプログラミング技術が求められます。

  2. 高パフォーマンス要件: 大規模なデータ処理やリアルタイム性が求められるアプリケーションでは、最適化されたコードが必要です。ローコードツールで生成されるコードは必ずしも最適化されているわけではないため、プロコードによるチューニングが不可欠です。

  3. セキュリティ要件: 機密情報を扱うアプリケーションや、高度なセキュリティ対策が求められる場合、プロフェッショナルなセキュリティ対策が必要です。ローコードツールだけでは対応しきれない場合があります。

  4. 統合と拡張: 他のシステムやサービスと高度に統合する必要がある場合や、新しい機能を追加する場合には、柔軟性と拡張性を持つプロコードが求められます。

5.2.ローコードとプロコードの使い分け方

ローコードツールとプロコードは、それぞれの強みを活かして使い分けることが重要です。以下にその具体的な方法を示します。

  1. 迅速なプロトタイピングにはローコード: アイデアを迅速に形にしたい場合や、小規模なアプリケーションを開発する際にはローコードツールが適しています。これにより、市場投入までの時間を短縮し、初期コストも抑えることができます。

  2. 本格的な開発にはプロコード: 最終的な製品としてリリースする段階では、パフォーマンスやセキュリティ、カスタマイズ性などの要件を満たすためにプロコードを使用します。これにより、高品質で信頼性の高いアプリケーションを提供できます。

  3. ハイブリッドアプローチ: ローコードツールで基本的なフレームワークやUIを構築し、その上でプロコードによるカスタマイズや最適化を行うハイブリッドアプローチも有効です。この方法は、開発効率と品質の両方を高めることができます。

このように、ローコードとプロコードはそれぞれの特性を理解し、適切に使い分けることで効果的なシステム開発が可能となります。

6.さいごに

生成AIは現代の企業において、生産性の向上や業務効率化に大きく寄与する技術です。その中で、ローコードツール「Dify」は、特に非エンジニアにも手軽に高度な生成AIアプリケーションを開発できる点で非常に魅力的です。実際にDifyを使用してみて、その直感的な操作性と柔軟なカスタマイズ性には驚かされました。

しかし、ローコードツールには限界も存在し、すべての要件を満たすわけではありません。高度なカスタマイズや高パフォーマンスが求められる場面では、プロコードが必要となります。ローコードとプロコードの使い分けを理解し、それぞれの強みを活かして開発を進めることが重要です。

今後も生成AI技術の発展が期待できるでしょう。それに伴い、ローコードツールもさらに機能が充実し、多様なニーズに対応できるようになることが期待されます。それはプログラミング技術の有無に限らず、誰もが普段の業務プロセスを見直し、生成AIによって業務の効率化を図ることができる可能性があると言えるでしょう。

システムエンジニアとしては、プロコードだけに縛られず、新しい技術や多様なツールを積極的に取り入れながら、顧客や所属組織に貢献することが求められると感じました。

7.Appendix

パーソルグループでは、社内での業務効率化の一環として「社内版ChatGPT」をはじめとしてさまざまな生成AIツールの導入を行っています。
そして現在、我々パーソルクロステクノロジーは、パーソルホールディングスと共同して、社内のさらなる業務効率化を図るために、技術の有無に限らず各部署の社員自らが業務に特化した生成AIアプリの開発&共有ができる、セキュリティに準拠した自社環境を整えるプロジェクトを進めています。
そしてパーソルの社員一人ひとりが生成AIを活用し業務の効率化を図ることで、企業価値を高めつつ、社会への貢献をさらに深めていきたいと考えています。


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