運用保守プロジェクトはITエンジニアとしてバランスよく成長できる
皆さん、こんにちは。パーソルクロステクノロジーのMasahide.Iと申します。
システム運用保守と聞くとどのような仕事をイメージされるでしょうか?
毎日決まった手順の作業をひたすら実施する。システム開発とは違って高度な技術知識が必要ない。プログラミングの機会が少ない。ITエンジニアとして成長する機会が少ないという印象を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回の記事では、これまでいくつかの運用保守プロジェクトに携わってきた私なりの視点で、運用保守プロジェクトがITエンジニアの成長にどのようにつながっていくのかをお話させていただきます。
自己紹介
ITエンジニアリングの本質
ちょっと運用保守の話をする前に。。。
故スティーブ・ジョブズもこう言っていたようです。
コンピュータを効率良く目的に到着するための道具だと捉えた言葉だと思います。我々ITエンジニアという仕事は、お客様のビジネスにおける目標をいかに効率よく達成するかがポイントになります。多くのお客様は、目標を達成するための問題や課題を抱えてらっしゃいます。それらを解決することこそがITエンジニアリングの本質だと考えます。
ITエンジニアリングに必要なスキル
先に述べたようにITエンジニアリングがビジネスにおける「問題解決」を主眼と捉えた場合、そこに従事するITエンジニアは問題解決力必要となってきます。問題解決力とは何か?以下の要素に分解できると考えています。
もちろん役割(マネージャー,アーキテクト,リーダー,メンバーなど)によって多少濃淡はありますが、問題解決にあたる上でそれぞれ必要な力となってきます。技術力は我々ITエンジニアとして特出するべきスキルだと思いますが、実際の現場ではそれだけで問題解決に至るのは厳しい状態となっております。
さまざまな人々に協力を仰いだり、集められた情報を整理したり、問題解決に至るまでの段取りを立てたりと、実際の問題を解決に導くためには技術力以外の力も重要になってきます。
運用保守の現場での学び
自身の経験を振り返ってみて、運用保守プロジェクトに従事することで問題解決力の各要素をバランスよく学べたと感じております。運用保守プロジェクトでは、担当するソフトウェアがお客様の業務プロセスの一部となっているため、問題が発生した場合に直接お客様の業務へ影響することになります。
それはお客様の売上、収益またはブランドイメージなど多岐に渡ります。我々ITエンジニアは業務への悪影響を最小限に抑え、問題を解決/改善する必要があります。そのような環境に身を置くことで問題との対峙機会が多くなり、結果、バランスよく成長できたのではないかと思っています。具体的な問題解決のシーンをそれぞれどのような成長につながる体験ができるかと合わせて紹介します。
業務効率化
・背景:会員サービスを提供しているお客様にて、集客イベントを開催することで会員数を増やしたいとのリクエストがあった。ただし、今後もイベントを開催し続けるかわからない。
・課題:イベント会場で参加者に会員登録を容易に行っていただけるようにしたいが、入力項目が多すぎて当日会場で会員登録いただくには敷居が高い。
・対応:イベントへの参加申し込みフォームにて会員登録に必要な項目に入力いただき、その内容をQRコード化し、当日会場で読み込んでいただくことで会員登録時の入力を省略できるようにし会員登録の敷居を下げた。
・体験:
お客様さまからの相談受け、要件やイベント状況ヒアリング・・・コミュニケーション力の向上
対応案を検討するためにデータのQRコード化を調査する・・・技術力向上
プログラム改修~本番適応までの段取りを決めて、関係者と調整・・・マネジメント力向上
データ分析
・背景:人材派遣サービスを提供しているお客様、会員向けにお仕事を紹介するメールを送信している。
・課題:会員向けに送っているお仕事紹介メールを読んでいただけない。開封率を上げたい。
・対応:開封いただいた時間帯、お仕事の内容、開封いただいた方の年齢、性別などの属性を分析した結果、ある時間帯に開封時間が偏っていることが分かった。その時間に新着メールとなるように送信時間を変更し、開封率を上げることに成功した。
・体験:
お客様さまより改善要望を受け付ける。その際に目的や背景をヒアリングする・・・コミュニケーション力の向上
開封している人の傾向を分析し、仮設立て対策を検討する・・・論理力向上
メール送信タイミング変更の適応タイミングの調整、および合意形成・・・マネジメント力向上
障害対応
・背景:サプライチェーンで複数の企業とつながって運営されている製造業のお客様
・課題:倉庫のシステムより出力されるはずの出荷伝票が起票できず出荷できない。出荷が遅れると後工程の遅延につながり、最終的な製品納期に影響する。
・対応:恒久対策チームと暫定対策チームに分かれて同時に動き始める。恒久対策チームはデータの解析し、原因調査に取り掛かる。一方で暫定対策チームはとにかく出荷するために必要な対策検討と情報収集を行い、仮伝票の発行対応を決定し実行した。恒久対策チームにより根本原因を突き止め、仮に発行した伝票も含めてリカバリー対策を両チーム集まり恒久対策を検討および決定し実行した。
20名程度のエンジニアとサプライチェーン各企業の担当者30名程度が集まり、複数拠点でリモート会議で手順の確認をしながら製品完成を極力遅らせないように進めていくさまは、刑事ドラマでよくみる捜査本部的な会議体で会話が行われる。システムの不具合が原因であったため、運用保守チームのリーダーが会議を仕切ることになった。
・体験:
緊迫した状況での被害状況のヒアリング・・・コミュニケーション力の向上
障害状況報告・・・プレゼン力の向上(かなり突っ込まれて質問されます。。。)
複数の調査担当からの状況報告を受け、仮説を立て原因調査・・・技術力/論理力向上
対応計画を立てて関係者の協力を仰ぎつつ対応を推進する・・・マネジメント力向上
まとめ
このように、運用保守プロジェクトの現場では大小さまざまな問題に遭遇します。それらは技術力のみでは解決できないこともあり、前述した問題解決力(技術力に加えて論理力、コミュニケーション力/プレゼン力、マネジメント力)が必要だと思います。
運用保守プロジェクトでの経験は、そんなITエンジニアに必要なスキルをバランスよく学ぶのに最適な環境だと考えます。
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