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LINE×MaaSアプリで確かな価値を届ける–LINEを活用したタクシー配車サービスの挑戦–

はじめまして。パーソルクロステクノロジーのRumi.Iと申します。2021年に新卒で入社し、MaaS導入支援を行う部門にて、アプリ開発や事業検討等に携わってきました。

本記事では、エンタープライズソリューション本部 モビリティソリューション部にて推進している「LINEを活用したタクシー配車サービス」の概要と開発プロセス、今後の展望について、エンジニアの目線でお話しします。
読了後、「私たちの組織では身近な課題解決に関わるお仕事もできるんだ!」「協業パートナーと共に、サービス企画から設計、開発、運用保守まで0から深く携われるんだ!」等、弊社ではたらく魅力を感じていただけますと幸いです。


1.自己紹介

Rumi.I
2021年4月、新卒入社。エンタープライズソリューション本部 モビリティソリューション部に配属後、MaaSソリューション開発に従事。技術メンバーとして主にフロントエンド開発を推進しつつ、諸先輩方と共にMaaS事業企画検討にも悶絶する日々。
趣味は舞台観劇、野球観戦、ひたすら歩くこと、美味しい鯖缶集め。

2.LINEを活用した配車サービス共同プロジェクトの概要

「LINEを活用したタクシー配車サービス」は、「おトクで、スムーズ」な移動体験を提供する株式会社NearMe (以下、ニアミー)と、パーソルクロステクノロジーが、LINEヤフー株式会社(旧LINE株式会社)とのMaaS普及拡大共同プロジェクトの一環として開発したものです。

人口減少や高齢化が進む昨今、特に地方の暮らしの持続性向上のために、公共交通の利便性向上と業務効率化は急務です。「地方交通のDX」という同じ課題感を持つニアミーとパーソルクロステクノロジーが協働し、移動に関わる「もったいない」を解決すべく始まったのが「LINEを活用したタクシー配車サービス」の共同プロジェクトです。

タクシー事業者のDXを推進  LINEを活用した「配車サービス」の8月本格提供に向けて 一部タクシー事業者へのテスト導入を開始

本サービスは、配車システムとLINEを活用した配車予約アプリのオールインワンパッケージ。タクシー事業者のLINE公式アカウントに配車予約アプリへの導線を設置し、24時間いつでもオンライン配車予約ができるようにする、というものです。

システムによる配車作業の自動化や予約管理といった業務効率化と、LINEを活用することによるエンドユーザーの利便性向上を同時に実現します。

3.「LINEを活用した配車サービス」フロントアプリの開発概要

ニアミーとパーソルクロステクノロジーの2社は、以下のような役割分担をしています。

  • ニアミー……LINEを活用した配車サービスの提供主体。配車システム・APIを提供。

  • パーソルクロステクノロジー……LINEを活用した配車サービスのフロントアプリを構築・提供。

ここからは、パーソルクロステクノロジーの開発領域であるフロントアプリの構成と開発プロセスについて、簡単にご紹介します。

3.1.アプリの構成・使用技術

LINEを活用した配車サービスのフロントアプリは、Microsoft Azureのサービスを組み合わせて構築しています。これらはTerraform Cloud(主にクラウドリソースの構築に使用されるIaCツール) を介して一括でデプロイしています。

TerraformによるIaC化を進めた背景には「環境構築の容易化と非属人化」があります。リソースのサービスレベルや構成値などをコードレベルで環境別に設定できるため、GUIでの個別設定が不要で、尚且つ環境を容易に構築できます。

本プロジェクトの場合、テスト環境やデモ環境、実際に運用する本番環境などを用意していますが、Terraformのおかげで環境作成や管理が容易になっています。

アプリケーションレベルでは、バックエンドはPython、フロントエンドはReact + TypeScriptで実装しています。UI実装には、マテリアルデザインに準拠したUIライブラリであるMUIを使用しています。デザイン起こしの時点で使用UIライブラリを定めていたため、画面設計と実装の効率化・高速化を両立できました。

3.2.開発スケジュール感とプロセス

開発の本格着手は2023年3月。ファーストターゲットとなるタクシー事業者へのサービスローンチは8月上旬。限られた開発期間で、ニアミーとパーソルクロステクノロジーが連携しながらアプリケーションを構築する必要がありました。

そのため「短期間のスプリントレベルでの工程管理」と、「非同期的なアプリレビュー・フィードバック」によって、効率的に開発を進めていきました。ウォーターフォール的な手法ではなく、できたところから内部・顧客確認してもらうようにしたのです。

まずは画面モックレベルのアプリケーションを構築し、機能実装に先んじてテスト環境にデプロイ。ニアミーにも随時確認してもらい、フィードバックや改善要望のやり取りをSlackやAsanaで非同期的に実施。改善要望の優先度やゴールの認識合わせは週次定例で行い、ロジック実装等と合わせ随時対応、テスト環境に都度反映させました。このサイクルを回し、機能実装とデザイン改善を効率的に進めることができました。

さらに、作業者レベルでの構成改善も随時行われていました。1タスクを1メンバーに割り当てていたため、タスクレベルでの「もっとこうしたい」が上がりやすかったのだと思います。

保守性や拡張性向上、別ライブラリ乗り換えによる機能改善などさまざまな意見に対し、各種マイルストーンと相談しながら、少しずつアップデートし続け、今の構成に至っています。各々の裁量が大きく、やれること・やりたいことが実際の成果に直結していた印象です。

(3年目のひよっこの私も、MUIのカスタマイズやUIコンポーネントのテスト手法等、さまざま調査しながら少しばかりプロジェクトに取り入れておりました)

こうして無事、8月に最初のお客様へのサービス導入を実現でき、機能拡張やカイゼンなどに継続的に取り組んでいます。

4.LINE×MaaSサービスの展望

「LINEを活用した配車サービス」は発表後、複数メディアで取り上げられるなど、非常に反響が大きいです。自分が携わったアプリケーションが実際に地域で使われていることも感慨深いですし、紹介記事を通し、改めて本プロジェクトの社会的意義について考えさせられています。また1ユーザーとしても1エンジニアとしても「LINEで簡単にタクシーを呼べる」というコンセプトの強さを感じています。

このLINEを活用した配車サービスは、個別アプリをダウンロードする必要なく、タクシー事業者のLINE公式アカウントを友だち追加するだけでサービス利用が可能です。月間アクティブユーザー数9,500万人(2023年6月末時点)という一大SNSツールであるLINE上で展開することで、より多くの事業者やユーザーにさまざまな体験価値を提供できる––––その強さが、今回の反響の大きさにあらわれている印象です。

※参考:サービス提供開始に伴う新聞記事
LINEでタクシー配車、相乗りも ニアミーが北海道帯広市から - 日本経済新聞 (nikkei.com)

さまざまなメンバーと協働しながら開発した「LINEを活用した配車サービス」のフロントアプリですが、結局はより多くのユーザーに沢山使っていただかないことには意味がありません。本プロジェクトはまだまだ始まったばかり。今後、様々な方からのご意見やフィードバックをもとに、本質的な課題解決のため、さらなるカイゼンに努めていく必要があります。

5.おわりに

私自身、地方出身であることもあり「地域と関わる仕事をしたい」「地方の移動課題を解決したい」という思いを入社当時から周囲に話していました。

そして現在「LINEを活用した配車サービス」などのMaaSプロジェクトで、技術者として責任ある業務を任されています。まだまだ若輩ながら、元々関心のあった地方の課題解決に関われていることは、メンバーのキャリア志向に合わせて挑戦を後押ししてくれる組織風土のおかげだと感謝しています。

私は「LINEを活用した配車サービス」のフロントアプリ開発を通し、「きちんと使えるサービスを作り上げる」ことと、「求められるサービスを届ける」ことに挑戦できています。

確かなサービスを作り上げるために、技術者として、今後学んでいかなければならない要素は多々あります。

同時に、サービスを届けるものとして、実際に使う人のまなざしを持ち続ける必要もあります。解決すべきイシューをきちんと捉えることも重要です。

非常に難易度は高く、個人としても課題は山積みですが、これからも「社会に求められ、エンドユーザーに使ってもらえるサービス」をお届けし、そしてこの「LINEを活用した配車サービス」がより沢山の価値を創造できるように挑戦していく所存です。

※Rumi.Iさんの所属するモビリティソリューション部については、以下の記事でもご紹介しています。


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